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徒然ブログ

きまぐれに美術でも書いてみる

・昨日の新日曜美術館は去年放送されたもので、実は気になっていた画家だった。画家の名前は松田正平(故人)。番組内では、美術評論家の洲之内徹(故人)や随筆家・白洲正子(故人)や写真家・藤原新也、片岡鶴太郎などがいろいろ語っていた。45分という短い時間ではあったけれど、やはり圧巻は主の居なくなったアトリエの写真と最晩年の素描につきる。私はどちらかと言えば「写真」の方に興味が行った訳ですが、アトリエは一見すると乱雑なのだが、どう表現していいのかわからないけれど空気が澄んでいて、この場所だけは別次元の空間‥と言えば良いのだろうか。それよりも前に名前の出た、白洲正子さんが『松田正平さんのこと』という題で書かれているのを引用したほうがわかり易いと思う。

 帰りがけに案内して頂いたアトリエの内部は、天井から床まで作品がびっしりとつまっていたが、何ともいえず明るく透明な色彩に満ちあふれており、まさに極楽浄土の観を呈していた。

 そんな場所で生み出される絵は、やはり「明るく透明な色彩に満ちあふれ」ている。「松田正平さんのこと」には、洲之内徹との短いエピソードも挿入されているけれど、それについては白洲正子さんの『夕顔』(新潮文庫)をみて貰ったほうが早いので、ここでは端折ることとする。さて、最晩年の素描についてだが、ホントにこんな年寄りの笑顔というのは見たことが無いくらい素敵に書かれていて、絵の中から笑い声が聞こえてきそうで、見ながら「いいなぁ最後にこんな感じになれたらナ」と独り言をつぶやいてしまった。

 あ、そうそう昨夜の番組タイトル名は「犬馬難鬼魅易(鬼は易しいが犬は難しい)」、これもやはり松田正平さんの書というか、作品のひとつでもある。
by cowboy_spike | 2006-03-13 19:51 | お気に入り